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#1 フォトコンテストと景観の関係(1/2)|まちのこと

TOP画像は、これまでのくりやま景観フォトコンの応募作品をまとめた「フォトブック」。町役場2階にある建設課で閲覧できるほか、栗山町図書館でも貸し出し可能だ。

栗山の隠れた景観資源を発掘する

栗山町には、米や麦、玉ねぎなどの畑が広がる田園や歴史のある建造物など、町の魅力を彩る景観が多くあります。くりやま景観フォトコンは、町民に知られていない隠れた景観を発掘するために、2014年から始まった写真コンテストで、町建設課が主催しています。

魅力的な栗山の写真は、一般利用も可能で「くりやまのおと」のTOP写真や自己紹介のページでも、くりやま景観フォトコンの作品を活用しています。

今年で第7回を迎えたくりやま景観フォトコンも、プロ・アマ交えた多くの写真家が、栗山を舞台にして静かな戦いが繰り広げられました。

今回は、担当する建設課の柴田真嗣(まさつぐ)さんから、くりやま景観フォトコンの横顔や栗山の景観に対する想いについて伺いました。

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柴田さんは、北海道芽室町の出身で、建築士として2012年に栗山に移住してきた。くりやま景観フォトコンの「育ての親」でもある。

くりやま景観フォトコンとは何か

くりやま景観フォトコンは、2013(平成25)年7月に定めた栗山町景観計画の、景観に優れた場所の情報をひろめる取り組みの一環として、スタートしました。「町民に知られていない隠れた景観資源を発掘し、栗山のふるさと景観の新たな良さを知ってもらう機会とする」がコンセプトとなります。

第1回の応募総数は59件。回数を重ねるごとに応募総数は増え、7回目となる今回は過去最多の182件となりました。柴田さんに増加の要因を聞くと、2019年からSNS上での募集を広げたことが挙げられるようで、SNSでの応募が全体の3割程度となっているようです。

入賞は「グランプリ」や「準グランプリ」、春・夏・秋・冬の「季節賞」を基本とし、「SNS賞」や「こども賞」などを用意しています。副賞は、栗山の特産品が贈呈されます。

第7回くりやま景観フォトコンの入賞一覧
 グランプリ   1点   特産物(2万円相当)
 準グランプリ  1点   特産物(1万円相当)
 季節賞 春夏秋冬 各1点 特産物(5千円相当)
 SNS賞      1点  特産物(3千円相当)
 一般審査賞1点 1点  特産物(3千円相当)
 特別賞     数点  特産物(3千円相当)
 こども賞    数点   プレゼント(千円相当)
  ※こども賞は、中学3年生までの応募者を対象としている

応募者は、栗山町民以外にも隣町の長沼町や南幌町、札幌市からのエントリーもあり、入賞者には常連の撮影が顔を連ねている場合もあるといいます。

応募~審査~表彰の流れ

応募から審査、表彰までの流れを、第7回の結果をもとに見てみましょう。

1 応募

応募方法は次の3つです。

(1) 画像データの応募方法
(2) 現像(プリント)写真の応募方法
(3) SNS投稿の応募方法

(1)はメール、(2)は郵送での応募となります。所定のメールアドレスと住所に次の必要事項を記入し、画像や写真を提出します。

①作品名/②撮影場所/③撮影日時/④名前(フリガナ)/⑤住所/⑥電話番号/⑦応募区分(季節賞 春・夏・秋・冬 から1つ選択)/⑧ひとことコメント(撮影のポイントや、撮影時の状況など10字~50字程度)

(3)のSNSでの応募は、facebookinstagramtwitterの公式アカウントをフォローしたうえで、「題名」と「撮影場所」を記入し、「#くりやま景観フォトコン応募」と、ハッシュタグをつけて、写真を投稿することで応募となります。ただし公開設定にして「検索可能な状態」にする必要がある点に注意が必要です。

応募は1人4作品まで。応募期間は第7回の場合、2020年6月1日から2021年5月31日まででした。

2 審査

入賞作品の審査は、栗山商工会議所青年部や栗山建設協会などの団体から8名、公募による町民の2名を加えた、計10名の審査員により行われます。

最初にグランプリと準グランプリの作品を決めます。審査員は得点が書かれた投票用紙を持ち、それぞれの作品を審査します。次に季節賞を同じく得点が書かれた投票用紙で行い、子ども賞、各審査員が選んだ特別賞を決めていきます。

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7月9日に行われた審査会の様子。応募者名を伏せた状態で、10人の審査員がグランプリをはじめとした各賞を決めていく。審査員にプロ写真家はおらず、町民の目線から純粋に審査を重ねていた。

入賞作品の発表は、7月16日に町ホームページで発表されています。

3 表彰式

表彰式は、8月1日に栗山駅の隣にある「くりやまカルチャープラザEki」で行われました。会場内では応募作品、全182作品が展示されており、来場者が審査する「一般審査賞」の投票ができる応募ボックスもあります。一般審査賞の結果は、8月下旬に発表されます。

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第7回くりやま景観フォトコン入賞作品・グランプリ「冬の白樺並木」。
撮影者の山内佳子さんは「大井分の白樺並木に魅力を感じて、冷え込んだ冬の朝に何回か訪れ撮って来ましたが、気象条件に恵まれた事、以前に立ち位置を変える事で霧氷のついた白樺並木を立体的に浮き上がる様にやっと希望通りに撮る事が出来ました。」とコメントしている。山内さんのように何日も足しげく通い、粘り強く撮影を重ねた参加者も多い。

作り手の人柄が溢れたフォトコンテスト

柴田さんから、お話を聞いていて「楽しいですよね、フォトコンの準備をしている時って」という言葉が、強く印象に残っています。

建設課の仕事は、許認可や建築確認などの専門的な業務が多く、柴田さんにとっての「くりやま景観フォトコン」は、煩雑な業務から解放された癒やしの業務の一つのようです。

その表れか、ポスターやフォトブック、賞状などはすべて柴田さんの手作り。その作風から柴田さんの人柄がにじみ出ているように見えます。

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くりやまカルチャープラザEki内に設置した、一般審査賞の応募ボックス。こちらも柴田さんの手作りだ。

審査の様子を見ても、町民目線の審査が色濃く出ており、入賞作品を見ても、温かみを感じるものが多いように見受けられます。

柴田さんが中心となって育み、町民の想いが反映された「くりやま景観フォトコン」という取り組み。第7回は終了しましたが、第8回は8月1日からスタートしています。第8回は、2021年6月1日から2021年5月31日の撮影日が対象となり、次のフォトコンに向けた静かな戦いが既に始まっています。

この機会に、町内の隠れた景観資源を探してみてはいかかでしょうか。

後編では、くりやま景観フォトコンのもととなった「栗山町景観計画」を紐解きつつ「栗山の景観とは何か」を整理していきます。

※ 本稿は、2021年7月9日の審査会、7月20日の取材、8月1日の表彰式の内容をもとに作成しています。

【参考文献】
・栗山町(2013)「栗山町景観計画」

文章・写真:望月貴文(地域おこし協力隊) 写真:長広大(地域おこし協力隊)

第7回くりやま景観フォトコン作品展の情報

くりやま景観フォトコン写真

開催期間:2021年8月1日(日)から2021年8月15日(日) ※入場無料
開催場所:〒069-1511 北海道夕張郡栗山町中央2丁目1番地
     くりやまカルチャープラザEki 2階 町民ギャラリー
開催時間:9:00~19:00
HP:https://www.town.kuriyama.hokkaido.jp/soshiki/48/670.html

追記:2021年9月13日、2022年7月22日

くりやまのおとでも、くりやま景観フォトコンの歴代受賞作品を紹介しています。


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