栗山駅から徒歩1分の場所にある「くりやまクリエイターズマーケット(以下、クリエイターズマーケット)」。
くりエイトするまち栗山町の合言葉のもと、町が運営している施設は「ものづくりをする方を応援する場所、人と人が繋がる場所」として、2017年9月にオープンしました。今では町内に限らず長沼町や由仁町、札幌市や江別市から多くのクリエイターが参加しています。
今回の主役である濱道俊介(しゅんすけ)さんは、札幌からクリエイターズマーケットに通う、クリエイターの一人。「cray'z parade(クレイジーパレード)」の屋号で、樹脂粘土やUVレジンを使用したアクセサリーや雑貨を創作しています。
濱道さんからは、創作活動の源流や、栗山町での活動に対する想いについてお聞きしました。
演劇での道具づくりがきっかけで栗山町へ
濱道さんは函館市の出身。5歳の時に札幌に引っ越してからは、札幌を拠点に生活をしています。中学時代からミニチュアづくりにハマるなど、手先を動かすことを得意としており、クリエイターズマーケットに来る前では樹脂粘土でフランスパンや果物など、静物作品を多く制作してきました。
クリエイターズマーケットの存在を知ったのは、後述する演劇を見にきてくれた女性からの紹介が始まりです。その女性からクリエイターズマーケットの説明を受けると、栗山で活動するには「栗山町にちなんだ作品を1点以上を制作す」が条件であると知ります。
前向きに思案していたところ「栗山町はオオムラサキが有名な町で幼虫もかわいいから、濱道さん作ってみてはどうですか」と助言を受け、参加を決意しました。
「大村さん」の生みの親として
濱道さんの手によって栗山で誕生したのが、もう一人の主役である「大村(おおむら)さん」。オオムラサキの幼虫をかわいらしくデフォルメした大村さんは、2018年に誕生しました。
「本当にうまくいくのか」と当初は心配していましたが、誕生から6年が経った今では、さまざまなイベントに現れてハロウィンなどの季節の衣装に身を包むなど、神出鬼没な存在として、すっかり栗山町の生活の中に溶け込んでいます。
いろんな姿をした大村さんの反応を聞くのが楽しみ、という濱道さん。名前の由来についても確認したところ、
人見知りの克服がきっかけの演劇からから得た楽しさの源流
劇団員としての顔を持つ濱道さんは、取材時もハキハキとした受け答えが目立ちます。濱道さんにとって演劇は、四半世紀を超える大事なライフワーク。しかし、演劇を始めたきっかけは意外にも「恥ずかしがり屋を克服するために始めたもの」と答えます。
現在は、札幌にある劇団「大人の事情協議会」に所属し、演者して活躍しています。
栗山の活動でも同様で「活動を続けることができているのは、日々いただく、アドバイスや嬉しい反応のおかげ」と言います。
cray'z paradeとして活動は
屋号の「cray'z parade」は、粘土の「クレイ」と、熱中しての「クレイジー」を掛け合わせたもので、「パレード」と冠するとおり、大村さん以外にもさまざまな動物を制作し「パレードのようなぎやかな場所(作品群)を創造する活動を続けていきたい」と語ります。
昨年(2023年)12月には、町教育委員会主催のワークショップの講師として参加。「大村さんと鏡もち」をテーマに、多くの参加者が鏡餅に乗った大村さんの制作を行いました。
また、オオムラサキ館では館内に潜んだ大村さんを探すイベント「大村さんを探せ」も企画しており、濱道さん自身も大村さんと同じように、創作活動を通じて栗山の文化や生活の中にも溶け込んでいます。
今後の活動を、どのようにしていきたいか質問したところ。
今日(10月31日)はハロウィンの日。栗山町図書館では「ハッピーハロウィンライブラリー」と称し、大村さんを探すイベントも開催します。
栗山町のシンボルであるオオムラサキは、濱道さんたちクリエイターの手によって、新たな動きを見せつつあります。
濱道俊介さんの基本情報
※ 本稿は、2024年10月1日の取材をもとに広報くりやま2024年11月号で掲載した内容を加筆しています。