#13 つなぐ、つながる デジタル社会 ~みんな一緒に~|とくしゅう
近年、世代問わずスマートフォン(以下、スマホ)やタブレットなどのデジタル端末を使う機会が急激に増加しており、私たちの生活により身近なものとなっています。
一方、急速なデジタル社会への変化に伴い、総務省では「インターネットやパソコンなどを利用できる者と利用できない者との間の格差(デジタルデバイド[1])が生じることを現代の課題」[2]として定義しています。
そのような中、町内では高齢者を中心に、自主的に学びを深め、デジタル端末を活用しようとする活動が行われています。今回は、各地域活動にスポットを当て、活動目的や参加者の声、今後のデジタル社会に向けた取り組みについて紹介します。
タブレットで脳トレに挑戦!
「だれもが自由に楽しめるたまり場」をテーマに、毎週角田地区の皆さんが中心に集まり、会話を楽しんだり、健康活動などを行っています。カフェでは定期的にタブレットを使い、脳トレゲームなど様々な使い方を体験しており、盛り上がりをみせる交流の機会になっています。
覚えること、会える嬉しさ
南部地区の皆さんが交流するカフェでは「スマホを学びたい」という声があり、現在スマホ教室を月1回開催中。1度で覚えられないという声がほとんどですが「月1回集まって話す場としてよい機会です」という声も多く、教室で学ぶ時間が地域の交流の場になっています。
地域の皆さんのサポートを
栗山町社会福祉協議会では、スマホやタブレットの使い方に関するサポートを行っています。
これまでもスマホ教室やタブレットの体験講座を開催しており、皆さんからの反響も大きく、地域の集まりなどの取り組みに繋がっています。スマホやタブレットは一人で楽しむものという印象を抱きがちですが、仲間同士でゲームをしたり、教え合ったりと交流するツールになっています。
また、一人で操作して難しくて悩むという声もよく聞かれます。実際に相談を受ける内容は「メッセージの送り方」「カメラ機能の使い方」「電話以外の活用方法」などさまざまですが、一緒に繰り返し操作しながら活用できるようにサポートできればと思います。
パソコンから始まった繋がり「楽しい日々を過ごしています」
20年ほど前、町主催のパソコン教室を受講し、参加者同士で「もう少し続けたいね」という声が上がり、サークル「わくわくシニアくりねっと」を結成しました。当時は「IT革命[3]」の時期で、慣れない用語や横文字に苦労したものです。活動では、パソコンでカレンダーや年賀状を作ったり、みんなで新聞を発行したりと、最近ではスマホも勉強中で、会員への連絡はLINEを使っています。
ですが、パソコンやスマホについて覚えることは二の次、本当は仲間たちと定期的に集まっておしゃべりできることが、一番の楽しみです。週に1回集まって話すことと言えば、健康のこと7割とデジタルが3割といったところでしょうか(笑)。一緒に旅行に行ったりなど本当に楽しい日々を過ごしてきました。
最近、コロナ禍で一時参加できなかった一人の会員が戻ってきました。パソコンがきっかけで生まれた繋がり、今後もみんなで元気に続けていきたいです。
世代間交流のきっかけとして「若い人からパワーをもらっています」
スマホは、普段から電話やメール、LINEを使って家族や友人との簡単なやり取りがほとんどですが、最近では買い物時のバーコード決済や、家で料理に関する動画を見たりなど、家族に教えてもらいながら、何とか使っています。
昨年、老人クラブ連合会の事業の一環で、タブレット講座に参加しました。純粋にタブレットを学びたい気持ちもありましたが、一番は若い介護福祉学生の方たちと、たくさんお話しがしたいという想いで申込みました。講座では一緒に脳トレのゲームをしたり、分からない操作を教えてもらったりと、大変優しくしていただき楽しかったです。
デジタル端末は家族や友人とのやり取りやゲームなどを一緒に楽しめること以外に、学生さんとの交流にも活用できるものであると感じました。今年もぜひ参加したいです。
60歳以上でもスマホ使用者増
総務省の「令和3年版情報通信白書」によると、携帯電話やスマホなどの世帯別端末保有率は9割を超え、特にスマホの普及が顕著で、8割以上の世帯で保有しています(図1)。
また、インターネット利用端末としても、スマホは68.3%と、パソコンやタブレットと比べて最も高いことが分かります(図2)。
利用率は年齢が低いほど高い傾向にあるものの、ガラケーのサービス提供が終息に向かっていることもあり、60歳以上であっても8割以上がスマホを利用している結果となっています(図3)。
笑顔という日常の「彩り」デジタルを用いた活動を通じて
取材を通して、町民皆さんのデジタルを用いた活動は「地域交流」、「健康づくり」、「世代間交流」などが一番の目的との声がほとんどでした。今回の事例は活動の一部ではありますが、デジタルの活用は「生活を豊かにするための手段」との意識の強さが伺えました。
また、一人で楽しむ使い方に限らず、仲間と楽しむ、世代を超えて和気あいあいと楽しめる、そんな生きがいづくりや地域コミュニティの活性にもデジタルの役割があると感じました。
もちろん、デジタル端末を使うことは、個人の選択であるため、それらを持たないという選択も一つだと言えます。
町ではデジタル化推進担当部署「DX[4]・行革推進グループ」を新設しました。デジタルデバイド対策の一つとして、今後スマホ教室の開催や相談の機会なども予定しており、町民皆さんの身近なお困りごと、デジタルへの抵抗感などを解消するお手伝いをさせていただきます。
今回取材した方々のように、日常生活に彩りを加え、素敵な笑顔を生むことができる、そんなきっかけにつながればと思っています。
注釈
[1]インターネットやパソコン等の情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差(引用:総務省(2014)「平成16年版情報通信白書」)
[2]総務省(2011)「平成23年版情報通信白書」
[3]1990年代後半のパソコンやインターネット、携帯電話などの急激な普及やそれに伴う経済や社会、生活の変革を指す
[4]デジタルトランスフォーメーションの略で、 デジタルテクノロジーを使用して、ビジネスプロセス・文化・顧客体験を新たに創造して、変わり続けるビジネスや市場の要求を満たすプロセス
※ 本稿は、広報くりやま2023年6月号で掲載した内容を修正・加筆しています。