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#1-1 長沼を拠点に、彩りあふれた食を提供する二人の女性|とくしゅう

キッチン味彩|北海道・長沼町

栗山町の隣町にあり農業が盛んな長沼町。豊かな田園に囲まれた美しい景観が特徴の町です。

その長沼に、彩り鮮やかなキッシュプレートを提供する2人の女性がいます。佐々木洋子(ようこ)さん工藤よし江(よしえ)さんは、「キッチン味彩(あじさい)」として、北長沼水郷公園を拠点に月1回程度、不定期でお店を開いています。

今回は、佐々木さんと工藤さんから活動に対する想いを伺いました。

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自慢の「キッシュプレート」。キッシュのほか、ピクルス、コーンポタージュ、季節のサラダ、デザートで構成される。きまぐれで、ラタトゥーユ[1]を追加することもある。加えて主菜として、夏はローストポーク、冬はロールキャベツが添えられる。

自分たちのできる範囲で、地域の食材でこだわりを

キッチン味彩は「自分たちで行える範囲でこだわる」が基本姿勢。地元で採れる野菜をベースにどうしたら美味しい料理を作れば良いかを前提として、そのうえで地域の生産者のこだわりや調理法を追求していく、という考えにあります。

材料は、農家である佐々木さんや長沼で採れる野菜を基本とし、近隣の市町村で生産される材料を意識して使用しています。例えば、キッシュに使うベーコンは、長沼の隣町・南幌の「薫製工房ハントヴェルク」のものを、卵は栗山の「酒井農場」のものを使用しています。

調理を担当しているのは工藤さんですが、工藤さんの料理の根幹には、お孫さんに喜んで食べてもらうことがあります。「孫のために料理しているといっても過言ではないですよ」と語る工藤さんの姿勢が、料理の丁寧さやこだわりへと繋がっています。

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トマトのコンポート[2]。果実自体の食感や風味が残っており、そのまま食べるのがオススメだという。薄皮を丁寧に剥いており、そのままの形で提供する工藤さんのこだわりが見える一品だ。

活動の発端は、佐々木さんの一言から

キッチン味彩の活動が始まったきっかけは、佐々木さんの「キッシュを作りたい」という一言によるものです。

ある日、女性農家による集会があり、佐々木さんが「自分たちで作った料理を提供したい」と提案しました。具体的に何がいいという話しになり、話し合いの結果、商品としてあまり出回っていなく、長沼の野菜で作ることができるキッシュに目をつけることになりました。

2016年に50代~70代の女性6人で活動を開始します。キッシュの商品開発は、工藤さんが長沼の野菜を使ったピクルスを加工する「味彩工房」で行われました。名前の由来は、味彩工房から名前を借りて「キッチン味彩」としました。

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キッシュは、長沼の野菜をベースに「じゃがいも」と「ごぼう」の7種類を開発しており、「長沼キッシュ」として長沼町内で購入できる。

しかしメンバーの中には、活動が本格化するに従って自身の健康や、家庭の事情により、キッチン味彩の活動に参加する事が少なくなってしまい、今は佐々木さんと工藤さんの2人が中心に活動しています。他のメンバーはいろいろな面から活動をサポートし、応援しています。

2人は、「支えてもらっているメンバーに感謝し、よりお客様に喜んでもらえるよう、楽しく元気に活動していきたいです」と語ります。

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代表の佐々木さん(写真右)は、店の切り盛りを担当し、工藤さん(写真左)は調理と担当している。活動はライフワークとしての楽しみが強く、取材のなかでも意気のあった掛け合いが繰り広げられていた。

農閑期の冬が、活動のメインとなるか

ヤムズキッチンには月1回程度出店していますが、佐々木さんは農家、工藤さんは工房の運営者として、本来の顔を持っており、春から秋にかけては忙しい時期になります。佐々木さんは野菜の作付けや収穫、工藤さんも彩りある長沼の野菜加工に専念しており、この時期はキッチン味彩としての活動が思うようにできない、というのが現状です。

しかし農閑期に入る冬は、それぞれの本業が落ち着くこともあり、キッチン味彩の活動に専念できる時期となります。活動地の北長沼水郷公園は、冬期間は閉鎖のため活動ができないこともあって、冬期でも利用できるヤムズキッチンの出店に意欲を覗かせています。

キッシュ写真

冬のヤムズキッチンでは、体が暖まるものを、とロールキャベツや大豆をふんだんに使ったミネストローネを振る舞っていた。ちなみに長沼は大豆の生産量・北海道1位を誇る。

本日で10月に入り、少しずつではありますが栗山も冬支度に入ります。2人が、どのような料理で栗山に彩りを添えてくれるのか楽しみです。

※ 本稿は、2021年8月28日及び9月30日に行った取材をもとに、広報くりやま2021年10月号に掲載した内容を補完したものです。

(出稿用)特集:ヤムズキッチンq_page-0002

【注釈】
[1]夏野菜の煮込みで、フランス南部プロヴァンス地方ニースの郷土料理
[2]果物をシロップやワインで煮込んだもの

文章・写真:望月貴文(地域おこし協力隊)

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