#20 みんなの”足”としての使命-町営バスのゆくえ-|とくしゅう
栗山町内をぐるりと走る循環バス「町営バス」を皆さんご存知ですか。町内での買い物、通院・通学などで利用できる「みんなのバス」として長年運行しています。
しかし、近年は乗車する方が減っており、十分に利用されていないのも実情です。今回は町営バスを知ってもらう機会としてバスの在り方や今後についてお伝えします。
ご存知ですか?町営バスの歴史
1990(平成2)年に、当時町内を循環していた北海道中央バス株式会社(以下、中央バス)が採算性を理由に撤退し、その補完として町営での路線バス運行が始まりました。以降、路線の見直しや新たな計画の策定など、利用者の声を踏まえた検討が行われてきました。
見直しの中で、特に高齢者などの生活に必要な移動手段の確保と、南部地区と市街地を結ぶ路線の維持は重要であるため、2009(平成21)年から滝下地区と日出地区の区間で予約バスの運行を行い、JR栗山駅をはじめ、市街地の民間バスの停留所などへのアクセスも容易となっています。
市街地の大切な移動手段コミュニティバス
町営による路線バスが浸透し始めた一方、市街地の路線が限られており、時代とともに病院や量販店の立地・分散が進み、車を持たない高齢者や子どもなど「交通弱者」対策の必要性が高まりました。
こうした市街地内での移動手段を求める声も多く上がったことを受け、平成27年より市街地循環型の町営バスとして、コミュニティバス「くるりん号」を導入し、今日まで運行しています。
赤字運行のバス現状と課題は?
町の面積は203.93k㎡で、南北に約25㎞という縦長の町域です。駅やバス停留所から遠い地域も多く、高齢化率が41.1%の町にとって、多くの方の移動は非常に大変な状況です。
交通手段のない人たちの移動には、古くから鉄道やバスが利用されていますが、近年の車社会の進展や交通ニーズの変化により、利用者は減少しており、収入も年々落ち込んでいます。
また、燃料高騰による経費の増加など運営は厳しさを増しており、支出(委託料)は年間約7000万円に上り、財源の多くは私たちの税金が充てられています。
そのような厳しい現状ですが、バスは過疎化や高齢化が進む地域の公共交通機関として、大きな役割を果たしています。
世代や生活環境でバスの需要や考え方が大きく異なり、財政負担や利便性の改善など多くの課題はありますが、町としては、交通弱者の移動手段を確保するためのバス事業を絶やすことはできないと考えています。
町内を走る町営バスは3種類(2024年3月現在)
①路線バス
②コミュニティバス
③デマンドバス
民間バス
町の皆さんの”声”
4月から町営バスの運行を一部見直します
町民ニーズをもとにバス運行を見直します
これまで「くりやまキャッチボイス」、「まちづくり懇談会」、「バス交通に関するアンケート調査」など、さまざまな機会を通して町民の皆さんより町営バスの利便性や採算性などに関する多くの意見・要望が寄せられています。
また、関係機関や交通事業者などで構成される「地域公共交通活性化協議会」でも町営バスに関する協議や意見交換を行ってきました。これらを踏まえ、町では令和6年度から下記の通り町営バスの運行内容を一部見直しすることとしました。
今後も運行状況を検証しながら、また、町民の皆さんからのご意見やニーズの把握を把握しながら、適宜必要な見直しを検討していきます。引き続き皆さんの「声」をお待ちしています。
町民の皆さんからの主なご意見
2024年度のバス運行の見直し内容
町営バスが運ぶ「笑顔」をこれからも守るために
私は3年前に札幌から転職という形で栗山町役場に就職し、すぐに町営バス運行の担当になりました。
観光が盛んな小樽市出身ということもあり、地元と比べるとバスの本数・乗車人数ともに少なく、なかには誰も乗っていない状態のバスも何度も見てきました。
もちろん、できる限り空車のバス運行は避けたい思いですが、町民の皆さんとお話ししていると、数値では計ることのできない大切な「足」として、バスの必要性を強く実感しています。
日常生活はもちろん、バスを使って出かける機会が多くなれば、地域とのかかわりが増え、普段なかなか会えなかった昔の友人に会える機会にもつながると思います。
今後は効率的なバス運行を目指し、路線の見直しのほか、小型バスの導入や予約制での運行など、コストを抑える方法も検討していきます。バスが運ぶ皆さんのたくさんの笑顔、そして、いきいきと輝き暮らす姿をこれからも守っていきたいです。
人生の”足”の選択肢となれるよう、これからも
今年4月から町営バスの運行路線などが一部見直しとなります。
「暮らしの足」であるバス事業を維持していくためには、町と交通事業者の努力だけでは成り立たず、町民の皆さんの利用が必要不可欠です。一番の力は「皆さんに利用してもらう」こと。
ぜひ日常生活の中で、町営バスを利用してみてはいかがでしょうか?
今回の内容は来月号(2024年4月号)の折込チラシ(バス時刻表)で詳しく紹介します!
※ 本稿は、広報くりやま2024年3月号で掲載した内容を修正・加筆しています。