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【12/14&1/11】イギリスウェールズ発・ウィキペディア記事を紹介する看板づくり (募集中!)

こんにちは、くりやまのおと編集担当&文化観光プランナーの望月です。

8月13日にくりやまのおとでもお知らせした「ウィキペディアタウン in 栗山」(10月6日開催)ですが、当日は快晴の中、予定どおりを開催することができました。

撮影:三木貴光

ウィキペディアタウンは、その地域にある文化財や観光名所などの情報を、インターネット百科事典ウィキペディアに掲載するにあたり、地域の文化財や観光名所などの情報を調べ、その成果をウィキペディア記事内にまとめる取り組みです。栗山町・空知管内では今回が初めてとなります。

今回は、北海道最古の酒造であり日本遺産「炭鉄港」の構成資産である小林酒造(小林酒造株式会社)と、蔵元の生家である小林家(株式会社小林家)、郷土史料を多数揃える栗山町図書館の協力により、実施しました。


ウィキペディアタウンin 栗山の様子

当日は、札幌市、小樽市、深川市といった町外の方を中心に7名が参加しました。午前の部では、小林家(案内人:小林千栄子さん)と酒蔵(案内人:本田壮さん)の見学を行い、編集する項目について理解を深めました。

撮影:三木貴光
撮影:三木貴光

午後の部では、栗山町図書館に集合して、講師である伊達深雪さんとかんたさんから、ウィキペディア編集の世界について解説していただいたあと、図書館所蔵の資料を参考にして、編集作業に取りかかりました。

撮影:三木貴光
撮影:三木貴光
撮影:三木貴光

また、当日の様子は、時事通信社の取材も入り、本ウィキペディアタウンの様子は、同社発行の行政専門誌地方行政2024年10月21日第11329号・合併号「参加型イベント、編集方針も 北海道栗山町 ウィキペディアで地域情報充実」に掲載される運びとなりました。

ウィキペディアタウン in 栗山の開催実績

今回の目標であった「小林酒造(北海道)」(加筆)と「小林家(栗山町)」(新規立項)の項目は、参加者の手により大幅な編集がされました。

上記以外にも、かんたさんが小林米三郎(二代目)」の項目を加筆していただいたほか、参加者の一人であり、これまで数多くの良質な記事を編集されているウィキペディアン「逃亡者」さんが、町内出身の切り絵作家小林ちほさんの記事を立項しました。

また、小樽から参加した「豊平哲平」さん(アカウント名)は、これまでウィキペディアの編集経験がほとんどありませんでしたが、今回のウィキペディアタウンの経験から、新たに炭鉄港の立項に挑戦するなど、副次的な動きも多くありました。

参加関係者のおかげもあり、「小林酒造」の項目は強化記事として、「小林家」「小林ちほ」の項目が新しい記事として選出、また「小林酒造二番蔵」の写真が新しい画像に選出され、それぞれ一定期間、ウィキペディアのトップページに掲載される形となりました。

画像:ウィキペディア(CC BY-SA 4.0)

ページビューの推移

ウィキペディア内には、ページビュー(以下、PV)を確認できる機能があり、今回編集した5つ記事のPV推移は、次のとおりです(集計日:10月6日~10月31日)。

出典:ウィキペディア「ページビュー分析」

小林酒造(緑)は、強化記事掲載(10月16~18日)で約1700PVを獲得。小林家(青)は、新しい記事掲載(10月13日)で400PVを獲得した

出典:ウィキペディア「ページビュー分析」

小林ちほ(青)は、新しい記事掲載(10月8日)に700PVを獲得。炭鉄港(赤)は10月23日に新規立項されている

グラフを見ると、トップページに掲載されている期間はPV数が大きく伸びる傾向が明らかです。次回以降のウィキペディアタウンの実施の目標として、新しい記事・強化記事等の選出となるように、企画を意識すると良いかもしれません。

情報を簡単にアクセスできる工夫

ウィキペディアは「インターネット百科事典」として、記事のアクセスを通じて、私たちに対して(出典情報に基づいた)有益な情報を与えてくれる媒体です。

近年は、スマートフォンやタブレット端末の台頭により、場所を選ばすインターネットにアクセスできる環境も増えてきました。外出先でも、調べものの一つとしてウィキペディアを見る機会も多くなってきたのではないでしょうか。

ウィキペディアタウンでは、自分たちが立項した記事を、来訪客にアクセスできるようにと、施設の案内看板などにQRコード[1]設置した取組事例が多くあります。

画像:ウィキペディア(CC 表示-継承 3.0)

世界初のウィキペディアタウンは、2012年のイギリス・ウェールズにある人口9,000人弱のモンマスという町とされています。モンマスはモンマスペディアというプロジェクトを立ち上げ、QRコードを用いたQRペディア(看板)を対象物に貼付して利用者がウィキペディア記事にアクセスできるようにしました[2]。博物館や学校など1000カ所の建造物・展示物に、ウィキペディアへの検索が行えるQRコードがあり、携帯電話、スマートフォンなどでアクセスできるようになっています[3]。

日本においては、2019年に静岡県沼津市の史跡神明塚古墳の案内看板に設置したことが最初と言われています[4]。文化財に対するQRコード案内されたことも初めてであり、一連の沼津の動きは、もともとの意味での「ウィキペディアタウン」の第一歩となっています[5]。

ウィキペディア記事を紹介する看板づくり

栗山町にはデジタル工作工房のファブラボ栗山があります。デジタル工作機械を利用してオリジナルQRコードの看板(モンマスペディアならぬクリヤマペディア?)の自作も可能であり、モンマスのように公共施設や名所、観光施設等に自作した看板を掲示することもできます。

画像提供:ファブラボ栗山

今回のウィキペディアタウン実施を機に、ファブラボ栗山では「地域課題プロジェクト」の体験版として、ウィキペディア記事を紹介する看板づくりを行うことにしました。(全2回、12月14日・1月11日)

制作:ファブラボ栗山

実施日時
▼1回目・2024年12月14日(土) 9:30-12:30
09:30-10:15 オリエンテーション(自己紹介、概要説明など)
10:15-11:30 フィールドワーク(現地確認・ヒアリング、写真撮影など)
※移動含む
11:30-12:15 アイデア検討(素材、デザイン、加工方法、設置方法など)
12:15-12:30 アイデア発表
2回目・2025年1月11日(土) 9:30-12:30
09:30-10:15 看板製作準備(作業内容検討、役割分担など)
10:15-12:15 看板製作(素材加工、組み立て、仕上げなど)
12:15-12:30 製作物発表
実施場所:小林酒造、小林家、ファブラボ栗山
参加料:無料
定員:8名(中学生以上を対象・ファブラボ未経験者歓迎)
申込先:ファブラボ栗山Peatix、栗山煉瓦創庫くりふと(0123-76-9945)
主催:ブランド推進課

1回目(12月14日)は、小林酒造と小林家を訪れ、関係者からヒアリングを行い看板のイメージを高めます。その後ファブラボ栗山でグループワークを行い、素材選びやデザイン、加工方法、設置方法などアイデアを出し合います。

2回目(1月11日)は、1回目のアイデアに基づいて、ファブラボ栗山でデザインデータの作成・加工を行い、小林酒造・小林家への設置する看板を制作します。

画像提供:ファブラボ栗山

今回「地域課題プロジェクト」と銘打っており、ファブラボ栗山の利用者自らがまちの課題を発見し、解決を目指すプロジェクトとしています。

ただ、プロジェクトの事例を増やしていきたい一方で、いきなりこのような事例に取り組むのは難しいと思いますので、まずは「体験版」としてスタートすることにしました。

今回のプロジェクトを通じて、参加者同士で、ものづくりによる解決策を検討・実践する体験型ワークショップを開催し、自発的に地域課題に取り組める人材の育成を図るための機会づくりを行うこととしています。

申し込み

ファブラボ栗山のPeatixと、栗山煉瓦創庫くりふと(0123-76-9945)から申し込みできます。たくさんのご参加お待ちしております!

注釈
[1]QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標(4075066)です。
[2]ウィキペディア「モンマス」より引用
[3]ウィキペディア「ウィキペディアタウン」より引用
[4]木村聡(2022) p.74
[5]ウィキペディア「ウィキペディアタウン」より引用

参考文献
ウィキペディア「ウィキペディアタウン
ウィキペディア「モンマス
木村聡(2022)「静岡県沼津市におけるWikipedia Townの実践例」奈良文化財研究所研究報告、第33冊、pp.71-76

文章:望月貴文(文化観光プランナー) 写真:三木貴光(町ブランド推進課)

最後まで読んでいただきありがとうございます。Instagramでも、栗山の音が溢れています。ぜひご覧ください!!