#4 地域に根差した栗山高校の「イマ」|とくしゅう
今年で創立94年を迎えた北海道栗山高等学校(以下、栗山高校)。全校生徒は113人。生徒数は少なくなっていますが、数だけでは語れない「地域に根差したさまざまな取り組み・思い」があります。今回は地域、先生、生徒の皆さんにスポットを当て、取材してきました。
開校以来、最少の生徒数 厳しい学校経営は続く
2022(令和4)年4月の栗山高校の入学者数は25人で、前年度から15人減少し、1学級となりました。募集定員80人に対して倍率は0.3倍(昨年度0.5倍)と、開校以来で最も少ない入学者数です。
減少の要因の1つは、栗山中学校の令和3年度卒業者の減少が挙げられます。昨年度の卒業生は91人でしたが今年度は67人と昨年度から24人減となりました。今後の中学校卒業見込み数を踏まえると非常に厳しい状況が想定されます。
今後も入学者数の増加がなければ、現在の教職員体制や学校規模の維持が難しく、募集定員が減る可能性があります。そうなれば「栗山高校への進学を希望しても入学ができない状況」になることが危惧されています。
道教委へ強く訴える高校魅力化の取り組み
北海道教育委員会では、通学区域ごとに市町関係者および学校関係者などと意見を交換し、地域との連携を深めることを目的に、毎年度「地域別検討協議会」を開催。
栗山高校が属する空知南学区(1)では4月に開催され、出席した吉田政和教育長は「現在新たな取り組みとなる女子野球や北海道介護福祉学校との連携を強化している」など、地元での高校魅力化に関する取り組みを強く訴えました。
北海道教育委員会は、協議会での意見を踏まえ、各学校の定員や募集学級数などを定めた配置計画を現在検討しており、6月中に計画案を公表する予定です。
栗山町による支援制度を拡充
町では、各種資格取得や模擬試験受験料・部活動大会派遣費の助成、海外研修派遣事業での栗山高校生徒枠の創設など、在学生徒の資質向上と高校の魅力づくりを支援しています。
令和4年度からは、栗山高校の要望を受け、各種支援制度の一部拡充を行いました。
新たに開始した支援策
「この学校でよかった」と思える学校に
本校は1948(昭和23)年に栗山高等女学校を道立に移管し、現在の栗山高校がスタートしました。令和元年には創立90周年を迎えた歴史ある伝統校であり、学校運営協議会[2]をいち早く設置することで、地域に拓かれた学校づくりを推進しています。卒業生は15,000名を超え、全国各地で活躍しています。
現在、全国的な生徒減にともない、今年度の1年生は1クラス構成となっていますが、地元の方々から高校を守る為に知恵を出し合いながら、力強く支えていただいておりますことに感謝申し上げます。
今年度から高校の魅力化の一環として、女子硬式野球や福祉のまちづくりの足がかりとするべく、介護福祉学校での学びを行っていきます。
これからも、栗山高校でしかできない学びを地域の皆さんと学校が一体となり、多くの生徒が「栗山高校へ行きたい」「栗山高校でよかった」と思える学校経営を目指し、まい進して参ります。
現役の栗高生に話を聞きました!
地域を支える、栗高のチカラ
栗高生たちは、普段の授業・部活動のほか、ボランティアや町民との多世代交流などの地域活動に積極的に取り組み、また、多くの卒業生も「地域の担い手」として活躍しています。そんな地域を支える栗高生の活動を紹介します。
高校は、地域を担う「子どもたちの大切な財産」
栗山高校の入学者数の減少が続く中、将来的に存続の危機に直面することになれば、地域経済の衰退や担い手不足など、まちが大きな影響を受けることとなります。
全国的にも高校魅力化プロジェクト推進など多くの自治体で取り組みが行われており、本町では町民が主体となり女子野球同好会設立の後押しなど、まちを挙げてのプロジェクトとして活動を進めてきました。
これからも将来の地域を担う子どもたちのため、まちの大切な財産「栗山高校」について、町民の皆さん一体となって考え応援していきたいと思っています。
注釈
[1]北海道の公立高校は、現在19の通学区域(=学区)に分けられおり、空知南学区は、栗山高校のほか、岩見沢東高校、岩見沢西高校、岩見沢緑陵高校、長沼高校などがある。
[2]学校の運営に関して協議を行う機関で、委員は地域住民や学校関係者などで構成される。本協議会を導入している学校は「コミュニティスクール」と呼ばれる。
※ 本稿は、広報くりやま2022年6月号に掲載した内容を補完したものです。