#2-1 ラジオで広がる新しい世界(1/2)|とくしゅう
地域と密着した情報を提供するコミュニティ放送局[1]。栗山町では現在、放送局の開設に向けた準備を進めています。今回の特集では、開設に向けたこれまでの経緯や目指す放送局についてお伝えします。
コミュニティを作るメディアとして
コミュニティ放送局(以下「コミュニティFM」)は、地域の特色を生かした番組や地域の方々が参加する番組、行政からの情報、緊急情報など、きめ細かな情報を発信することができます。
マチに放送局ができることにより、誰もが簡単にラジオで情報を得られるようになります。例えば〇〇商店のお得な情報や、▢▢地区の停電情報など、地域に限定した情報を発信することから、地域と住民をつなぐことができ、マチの一体感がより一層深まることが期待されます。
ラジオには「ながら聴き(何かをしながら聴く)」ができる魅力があります。東日本大震災をはじめとする災害や、新型コロナウイルス流行による巣ごもり化現象などの影響もあって、「ラジオは頼りになる」という認識が高まっており、民放のネットラジオである「radiko( ラジコ)」では、2020年3月の緊急事態宣言以降にユーザーが急増( 日本経済新聞2020年8月21日朝刊) しています。
コミュニティFMのネットラジオ(サイマル放送)[2]でも、どこにいてもスマートフォンやパソコンなどで放送を聴くことが可能であり、ながら聴きは、巣ごもり需要の中での在宅ワークと相性が良く、ラジオはコロナ禍にも負けず成長を見せています。
災害時の命綱としてのコミュニティFM
ラジオには「即時」に情報が伝えられるという魅力もあります。災害時には町内の情報を素早く優先的に放送することができ、停電や交通事故、漏水や防犯に関わる情報など、緊急性の高い情報を提供することも可能です。
また、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震での被災経験をきっかけに、臨時災害放送にも対応できるコミュニティFMの早期導入に対する町民の期待も高まっています。栗山においても、即時に確実性のある行政からの情報提供・伝達手段の充実を図ることとしています。
このように、コミュニティFMは、コミュニケーションを成立させる「マチを元気にするメディア」であるとともに、「地域限定防災メディア」としての役割も担っています。
みんなでくりやまにラジオを創ろう!
2021年10月から、札幌などで24年間、コミュニティFMのラジオパーソナリティを務めた深澤雅一(まさかず)さんが、地域おこし協力隊として着任し、2023年春の栗山駅南交流拠点施設「栗山煉瓦創庫くりふと」でコミニティFMの開設を目指して本格的に動き出しています。
同年12月から、栗山町の話題を中心にしながら、コミュニティFMの魅力や面白さを伝えるPRイベントを行っています。来場された方からは「楽しかったので、また来たい」「ラジオに、ぜひ参加してみたい」といった声も聞かれ、少しずつではありますが、コミュニティFMがマチに広がってきています。
2022年1月からは「夜の部」も開催している(場所:まちの駅栗夢プラザ)
地域に密着したコミュニティFMとして認知され、地域の皆さんから愛され、必要とされる放送局として存在することが理想であり、町民のためのコミュニティFMを目指します。
※ 本稿は、広報くりやま2022年3月号に掲載した内容を補完したものです。
後編はこちらから
【注釈】
[1]市区町村内の一部の地域において地域に密着した情報を提供するため、1992年4 年1 月に制度化された超短波放送局。総務大臣の免許を受けて運用される民間の放送局で、FM 放送の周波数帯を利用して放送を行うため、一般に市販されているFM ラジオで聴くことができる。2022 年1月現在、国内のコミュニティFM は338 局あり、道内においては28 局となっている。(総務省および日本コミュニティ放送協会のホームページより引用)
[2]一つの放送局から異なるチャンネル(周波数)や放送方式、放送媒体を使って行う同時並行放送のこと。ラジオ放送では、インターネットに配信する
サイマルラジオとして利用されている。
【参考文献】
日本経済新聞「radiko快走、利用者1000万人へ 音声配信が急拡大-コロナ下で「ながら聴き」需要」2020年8月21日付け朝刊
【参考サイト】
・北海道総合通信局「コミュニティ放送局」
・日本コミュニティ放送協会
・radiko
・サイマルラジオ
文章:杉本整昭(栗山町ブランド推進課) 写真:栗山町役場