#18 移住特集~ここが私の選ぶまち|とくしゅう
人口減少は、全国の自治体が抱える大きな課題です。栗山の高齢化率は約42%であり、2040年までには50%を超えることも予想され、少子高齢化が顕著となっています。
そのような状況を踏まえ、本町では移住促進に力を入れています。近年コロナ禍の影響で、地方移住の関心が高まり「家族で移住する方」「夢を追いかける方」「仕事を求めて来る方」などさまざまな理由で本町に移住しています。
今回は、栗山に移住した3人と、日頃から相談者と町の橋渡し役として奮闘する移住コーディネーターに取材し、町の魅力や栗山町への移住のきっかけなどをお聞きしました。
開催・移住者座談会
今回、「くりやま焼ようへい」(松風2・旧りんごの木)をお借りし、移住者の3人との座談会を開催しました
夢・食・自然 それぞれの栗山の出会い
――皆さんが移住したきっかけはどのようなことですか?
村野 夫が突然「北海道の農業に携わりたい」と決意し、脱サラして家族3人で移住しました。農業が盛んな町を探しており、他の候補はありましたが、空港や札幌へのアクセスの良さが移住の決め手になりました。岩見沢に住むことも検討しましたが雪が多いため、過ごしやすさを重視して選びました。
土屋 食に関する仕事を探していたので、ネットで栗山の地域おこし協力隊の募集を見つけ、選考を受けました。下見に栗山を訪れた際、スーパーやコンビニ、豊かな自然環境があるだけでなく、田舎初心者の私でも過ごしやすい「ちょうどいい町」だと感じ、ここに決めました。また、少しの車移動と飛行機で関東へ帰省できるので、栗山からの移動はすごく便利だと思っています。
木坂 札幌で福祉関係の仕事をしていましたが、体調を崩したことで、少しのんびりできる地域で生活をしたいと思っていました。たまたま栗山の友人のもとへ遊びに行った際、弱っていた自分の目に映った、とてもきれいな景色が心にジーンとくるものがあり、勢いですぐに移住を決めました。その後ご縁をいただき、現在はお好み焼き屋「くりやま焼ようへい」を元気に経営しています。
最初の難関は「家探し?」移住コーディネーターの存在
――移住したときに苦労したことはありましたか?
村野 最初の家探しですね。とても苦労しました。
土屋 同じくです(笑)難航しました。私の場合、道外なので、何度も通えないですし。
村野 最初は大手不動産会社のネット情報で探していましたが、なかなか条件が合わなかったです。そんな状況を役場に相談したところ、移住コーディネーターの腰本さんに対応いただき、空き家バンクを勧めてもらいました。その後も連絡を取り合いながら、いい物件が見つかり大変助かりました。
腰本 一緒に内見や保育園の見学にも行きましたね。懐かしいです。私は窓口での移住相談に加え、家探しの手伝いも行っており、たしか木坂さんもお越しいただきましたよね。
木坂 はい。私も腰本さんに相談しました。予算をはじめ、運転が不安なこともお話しするなど親身に相談に乗っていただいたことを覚えています。最終的には町内の不動産屋さんを紹介いただき、アパートが見つかりました。移住者対象の交流会にも参加し、皆さんとても温かく、交友が深まりました。
土屋 当時は移住の相談窓口は知らなかったです・・・。交流会も知らずもっと早く腰本さんに出会いたかったです。
引き継いだ伝統の味 交流が生んだ新たな出会い
――こちらの店はどのように開業されたのですか?
木坂 もともと、父が広島県出身で、私も長年町民の方に愛された「りんごの木」の存在は聞いており、とても興味をもっていました。その後、元店主の福原誠一(せいいち)さんと父と一緒にお話しする機会があり、引き継がせていただきたいという思いを伝えると、快く認めてくれました。現在は私と両親で切り盛りしており、以前からのお客さんや同じ移住者の方にも多くご来店いただき、人とのつながりの大切さを感じる日々です。また、開業にあたり、町の空き店舗の活支援金を活用しました。ちょうど対象地区が広がったばかりで大変助かりました。
移住者の暮らし 新たなつながりの一歩へ
――土屋さん・村野さんの生活や活動について教えてください
土屋 現在は協力隊として町の食に関わる仕事をしており、最近では栗山煉瓦創庫くりふとのキッチンワークショップにも携わっています。自主活動として「まちの魅力アップ事業交付金」を活用してイベントも実施できたので、そういった面で町が応援してくれる環境が整っていると感じました。
村野 平日は仕事でバタバタしていますが、週末には趣味の家庭菜園を楽しみながら、子どもとのびのびと過ごしています。我が家のお隣さんがいつも親切で、そこの猫ちゃんたちにもとても癒されています(笑)また、親子で栗山公園やオオムラサキ館にも遊びに行っており、スタッフさんがいつも子どもたちに囲まれた人気者で、すごくいい場所だなと思います。
腰本 お二人には東京で行った移住イベントにも参加していただきました。移住者としてのお話しや、土屋さんの手掛けた町産食材の特製料理を提供し、おいしいと参加者から大好評でしたね。大変良かったです。
村野 ありましたね。腰本さんに誘われた時は驚きましたが「東京に行けるのラッキー」と喜んで参加しました。
土屋 同じくです(笑)
腰本 イベントをきっかけにその後移住体験に来られた方もいて、お二人に参加いただき感謝しています。
ちょうどいい距離感で 人とのつながりを感じる生活
――最後に移住してからの感想や今後について教えてください
土屋 私は町の人との距離感がすごくちょうどよくて、とても居心地がいいなと感じています。もっと田舎の町だと、必ずみんな仲良くしないと生活していけない、というイメージもありますが、皆さん温かく、久々に会う方も「元気にしていたかい」などといって迎え入れてくれる印象があります。都会から来た私でもすんなりと受け入れられるこのちょうどいい距離感が過ごしやすいです。
村野 公園をはじめ広い自然豊かなところが多く、とても子育てがしやすいと感じています。農家の友だちの家に遊びに行ったり、子ども同士で田植えや稲刈りなどもしています。今後も自然と触れ合いながら親子で成長していきたいですし、夫が行う新しい事業のサポートもしていきたいと思います。あとは家庭菜園を頑張ることと、土屋さんの食のワークショップにも参加していきますね(笑)
土屋 ありがとうございます(笑)栗山は本当に美味しいものが多いです。活動を通じて農家さんの知り合いがたくさんできました。今後もつながりを大切にしながら、食の魅力を町内外に発信していきたいと思います。
木坂 先ほども話した通り、伝統ある「りんごの木」から引き継がせていただいた味を守りつつ、もっと店のことを知ってほしいです。また、音楽活動やパステル画の制作なども行っているので、町の皆さんと一緒に楽しめる機会を作っていけたらと思います。
腰本 木坂さんってかなり多才ですよね。店内や学校で料理や音楽、美術の教室をやっても面白いと思いました。
木坂 どれも特筆すべきものがないだけですよ(笑)ただ、昨年は栗山高校美術部の皆さんとパステル画を制作しました。元気な部員たちと一緒にとてもいい作品ができて楽しかったです。このようなことが今後もできればと思います。
――皆さん貴重なお話しをありがとうございました!
人の魅力は、まちの魅力
移住促進の仕事をしていると、どの場面でも町民の皆さんが快く協力してくださり、そのたびに心が温まります。
実際に栗山に足を運ぶ移住検討者さんたちからは、町内で出会った方々とのお話が印象的でしたとの声がよく聞かれます。
「人の魅力=まちの魅力」だと私は思っています。移住イベントでも、栗山の魅力は「人」であるといつも話しています。
遠くにお住まいのご家族やお知り合いで栗山に住みたい方がいらっしゃいましたら、ぜひ役場の相談窓口にお越しください。この町に魅力を感じ、楽しく暮らす人がひとりでも多く増えるといいなと思います。
※腰本さんは過去のくりやまのおとでも紹介しています。
\ 家探しのオススメ / 栗山町空き家バンク
\ 開業・スタートアップ / 空き地空き店舗活用支援金
\ 団体・サークル活動 / まちの魅力アップ事業交付金
※ 本稿は、広報くりやま2024年1月号で掲載した内容を修正・加筆しています。