#16 私たちの” 推し本” あなたに届け 本と私が過ごす日々|とくしゅう
私たちの生活において、本はさまざまな場面で利用されています。近年、本を楽しむ方法は多様化し、購入して読む人、図書館から借りる人、電子書籍を利用する人など、個人の好みに合わせた読書スタイルが広がっています。
また、小説、絵本、ライトノベルなど、ジャンルも多岐にわたります。本は私たちの生活を豊かにしてくれる存在であり、趣味として楽しむだけでなく、教養や勉強のために活用することもできます。また、ボランティア活動でも本が役立つことがあります。
今回は、町内の読書愛好家の方々に取材を行い、皆さんの本に対する思いを紹介します。
新たな世界が広がる読書
「ジャンル問わず読書が大好き」と笑顔で語る菅野さん。中学生から本格的に読書をはじめ、今では通勤時や昼休憩、数分のスキマ時間でも本屋に足を運ぶとのことです。
オススメ本は医療小説で「病院の現場をリアルに感じられる作品です。主人公の成長が見られるシリーズで、その方の人生を辿りながら新たな世界に出会えることが楽しい」と熱く語ります。一児の母でもある菅野さんは、図書館では親子揃って司書とも顔なじみの関係だそうです。
「息子(7歳)は読み聞かせや催しなどで長年お世話になっています。本に触れ、さまざまな表現に出会うことで、感性豊かな子に成長してほしいです」と話します。最近では館内の郷土資料コーナーに影響され、町の歴史にも興味が広がったといいます。「読書で出会える新発見を今後も楽しみたいです」。
読書だけではない「物語」
「小説はもちろん、漫画やアニメなど、作品を通して表現される『物語』が大好き」と語る廣岡さん。オススメ本は、長年のファンである作者と音楽アーティストで共同制作された作品。「小説にちなんだ楽曲や映像も製作されたプロジェクトとしての作品です。
「いろんな楽しみ方があり、読書が苦手な方でも、別の切り口で触れやすいと思います」。小学校の図書室で本を借り、教室や家で読む日常が原点と話す廣岡さん。昨年からスマートフォンを持ったことで、気軽な電子書籍も利用すると話しますが「本当に好きな本は手に取って集めたい」と、家には自身の「推し本」が棚いっぱいに並んでいると言います。
最近は勉強やクラブ活動などで多忙のため、読書に費やす時間が少ないと話しながらも「これからも大好きな物語の作品に触れていたいです」と話していました。
本に囲まれた生活を過ごす
「読書は知らないことがたくさん学べて、知識や視野が広がるのが楽しい」と話す菅野さん。家にも自身の好きな本がズラリと並び、学校では頻繁に図書室に出入りし、帰宅後も読書と、まさに「本に囲まれた生活」を過ごしています。
オススメ本も、既に全巻を揃えており「優しい妖怪、面白い妖怪など怖いイメージのある妖怪の楽しさが伝わる作品です。面白くて続編シリーズも買い集めています」と話します。
現在は図書委員も務めており、図書室のカウンターで本の貸し借りの受付けをしながら、その間も読書をしているといいます。「図書室では、学校司書[※]さんともお話しができたり、オススメ本を教えてもらい、とても楽しいです」と無邪気に話します。「今後は物語系以外の他ジャンルの作品も読みたいです」。
絵本の『絵』を楽しんで
月1回、図書館で子ども向けに読み聞かせボランティアを行っている小原さん。自身が持つ本は700冊以上で、ほとんどは児童向けの絵本だといいます。
「読み聞かせに使うのはもちろん、絵を見ながら読むことが私は好きです。絵本ならではの独特の表現、作者によって異なるタッチに目を引いてしまいます」。
オススメ本も数々の本から厳選した作品で「絵の好みで決めました。細部までこだわって描かれており、特に登場キャラとそれを取り巻く『手袋』の表現が素敵です。寒い季節にぴったりの心温まるお話です」と語ります。読み聞かせで使うときも子どもたちの反応が良く、心の中でガッツポーズをしているとのこと。
「私の本の趣向にもつながりますが、ただみんなを楽しませることが好きなんです。心が豊かになる面白いお話をこれからも提供していきます」。
お話を通じた交流が生きがい
栗山小学校で20年以上、読み聞かせ活動を行う青木さん。昔からお話に触れるのが好きで、学校以外でも、道内各地で読み聞かせイベントを開いてきたとのことです。
「読み聞かせ歴は40年ですが、読書をたくさんするわけではありません。ただ、本や物語を通して栗小の子たちや本に関わる大人の方々との交流が好きで、この道を進んでいます」と語ります。オススメに選んだ本は「生死」をテーマにした作品で、大人にこそ読んでほしいと語ります。
「最初読んだ時はあまり印象に残りませんでしたが、歳を重ね身近に生死を感じるようになり共感を覚えた。限りある命だからこそ、人生を全うできるそんなことを考えさせられます」。絵本=子ども向けではなく、大人も含めた本のジャンルと話す青木さん。「いつか町内で大人向けの読み聞かせ会をやりたいです」。
ともに成長し続ける「みんなの図書館」としての存在
本を読むことは、生きていく上で絶対に必要なことではありません。しかし、今回の特集に登場された皆さんのように、暮らしの豊かさにつながったり、人生の経験として強く根付くなど、その人が生きるための「糧」になると思います。また、図書館は本の貸し借りを行うだけの場所ではなく、利用者の皆さんそれぞれの過ごし方があります。
読書、仕事・勉強、最近ではリモートワークなど選択肢はさまざまです。最近では会話・飲食での利用を望む声もいただき、今年より当館では人との交流や休憩場所につながる「コミュニティスペース」としての展開も進めています。
親子の交流の場、久しぶりに会った友人同士のおしゃべり、軽食や待ち時間などで活用いただきたいです。利用環境や蔵書も皆さんの声で支えられており、「みんなの図書館」として共に作り上げ、成長する施設だと言えます。誰もが利用できる場として、図書館の存在が、選択肢やきっかけの一つにあれば嬉しいです。
文化の日特別開館
祝日は通常休館日ですが、11月3 日(祝)は「文化の日」に合わせた特別開館日です。ぜひご来館ください。※継立・角田分室は休館です。
注釈
[※]栗山町図書館では、小中学校に専任司書を派遣し、読書活動のサポートをしています。
栗山町図書館の基本情報
※ 本稿は、広報くりやま2023年11月号で掲載した内容を修正・加筆しています。