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#8 栗山ならではの教育を目指して「地域 × 栗山高校」|とくしゅう

くりやまのおと

まち一体で行う支援活動

開校以来、最も少ない入学者数となった今春の栗山高校。定員80人に対し、倍率は0.3倍(昨年0.5倍)にあたる25人の1年生が入学しました。

町では「栗山高校の維持・存続」を重要な町政課題とし、資格取得や模擬試験などの受験料補助や、入学準備支援金・部活動費の助成制度を拡充、国際交流事業「少年ジェット」の栗高生枠の創設など支援を行っています。

撮影:伊藤昴

支援制度を活用し、海外派遣を行う少年ジェット事業。今年度は2人の栗高生が参加する

また町民組織「北海道栗山高等学校魅力づくり委員会」を設置し、高校の在り方や特色ある教育課程の編成について提言を行うなど、魅力ある学校・選ばれる学校づくりに向けて、さまざまな施策を行ってきました。

加えて、「北海道栗山高等学校を支える会(以下、支える会)」が北海道教育委員会(以下、道教委)に対し、間口(学級)維持に向けた活動を行う他、今春始動した女子硬式野球同好会を応援する組織「栗山高校女子野球後援会」を設立するなど、町と町民が一体となった高校の支援体制が構築されています。

撮影:伊藤昴

女子野球の活躍に多くの地元企業や団体からも応援の声が届いている

想いが伝わった要望活動-栗山高校の2学級維持が決定

昨年に引き続き1学年が1学級編制になったことを受け、8月23日、佐々木学町長から道教委へ「普通科募集間口の2学級維持に関する要望書」を提出しました。

町長から、現在、町が進める北海道介護福祉学校との連携による高・専一貫教育モデルの開発・実証事業の推進や女子硬式野球活動など、入学者増につなげる生徒確保対策について説明。同席した鵜川和彦栗山町議会議長、松原正和栗山商工会議所会頭(当時)からも、それぞれの立場から栗山高校の必要性について強く要請しました。

撮影:町教育委員会

道教委への要望活動の様子

これまでの活動や要望を受けて、道教委の倉本博史教育長は「栗山高校が町民の皆さんに支えていただいていることに大変感謝します。本日の要望内容をしっかりと受け止め、高校設置者である道教委としても福祉をテーマにした教育活動の推進など、地域からの支援を土台にした学校づくりを進めていきたい」と話していました。

その後、道教委は9月6日に、2023年度以降の高校配置計画と今後の見通しを示した公立高等学校配置計画[1]を決定。多くの学校が、募集停止や統廃合、学級数減などの厳しい見通しとなる一方、栗山高校は2学級が維持されることになりました。

多くの町民の皆さんの高校存続にかける想いと取り組みが、実を結びました。

栗山高校の取り組みついては広報くりやま6 月号でも紹介している

栗高だけではない?近隣の高校の動向

栗山高校は2学級維持で決定されましたが、依然多くの高校で厳しい状況が続いています。近隣の空知南学区の一部の現状を紹介します。

南幌高等学校 
すでに生徒募集を停止。今年度で「閉校」
長沼高等学校
一時期は1学級体制であったが、近年は学区外からの出願が多く「2学級制」で運営
岩見沢東高等学校・岩見沢西高等学校
2025(令和7)年度に両校は統合し「新設校」を設置。統合後は、岩見沢西高等学校の校舎を使用予定
岩見沢緑陵高等学校
近年は学区内で定員以上の受験者が出願。学級数も「今後1増」の予定

注釈
[1]高校進学希望者数に応じた定員を確保するため、中学校卒業者数の状況を踏まえ、学校・学科の配置や規模の適正化を図るための計画。道教委が作成し、毎年度、3年間の具体的な高校配置計画とその後4年間の見通しを公表する。


次年度より道外募集がスタート「福祉」を学ぶ新たな取り組み

町では、北海道介護福祉学校を事業主体とする介護分野の中核を担う人材養成に向けた新たな「高・専一貫教育プログラム」の開発事業が進められています。今回は文部科学省委託事業「専修学校による地域産業中核的人材養成事業(専門学校と高等学校の有機的連携プログラムの開発・実証)」として全国で唯一採択されました。

これを受け、栗山高校は学校の魅力を高める取り組みとして町と連携し、福祉のまちづくりを学ぶ教育活動の実現に向け新科目「栗山と福祉」の教育課程の改編作業を進めています。

この取り組みは地域独自の教育資源を活用した活動で道教委からも認められ、次年度より道外からの出願が可能となりました。

今後、産学官による連携組織「魅力化コンソーシアム」を構築し、学校・行政、そして産業界が連携し、福祉・介護の充実を目指します。

撮影:町福祉課

これまでも栗山高校との連携事業を行ってきた介護福祉学校

福祉を学んで社会で生きる経験に

撮影:伊藤昴

栗山高校 教頭 煙山(けむりやま)訓(さとし)さん

これまで栗山町の皆さんには多く支援やご提言をいただき、大変感謝を申し上げます。その答えとなるような形で、栗山高校は福祉教育に特化した学校づくりを進めていきます。

福祉教育は、日本が抱える少子高齢化などの問題にも関連するテーマです。
その基礎的な部分を学ぶことは、社会に出た時ないしは介護の場面で、栗山高校で得た知識・経験が生きると思っています。

今後も地域から信頼され、選ばれる学校づくりを進めていきたいと思います。

栗っ子たちの声

町からの支援制度を活用している栗高生と、栗高卒業生の介護学生のお二人に話を聞きました。

栗高枠を利用してオーストラリアへ

撮影:松井有彩

原田涼花(すずか)さん 栗山高校2年(栗山中学校卒業)

来年1月に行われる少年ジェット事業の栗高枠制度を利用して、オーストラリアに行ってきます。これまで高校や町教育委員会、ALTのスタッフさんにお世話になりながら、楽しく活動しています。

今は事前研修などで英語の勉強や団員達との交流を深めています。小さいころから海外に興味があり、研修で海外の文化をたくさん学んで帰ってきたいと思います。

高校から福祉を学ぶこと

撮影:伊藤昴

土門萌笑(もえみ)さん 介護福祉学校1年(栗山高校卒業)

高校生のときに参加した進学説明会をきっかけに、介護学校への入学を決めました。その数年後に母校が福祉に特化した取り組みを行うと聞いて、うらやましい限りです。

介護を学ぶことは、苦労もありますが、利用者さんや仲間たちとの関わりや実習など、やりがいが大きいです。これから入学する多くの栗高生にも福祉の魅力を感じて貰いたいと思います。

人の温かさを感じながら学びを

画像提供:愛全会グルーブ

介護老人保健施設ガーデンハウスくりやま
前事務長 山岸貴昭(たかあき) さん
栗山町出身で栗山高校卒業生。今年10月まで介護老人保健施設「ガーデンハウスくりやま」の事務長として勤務。現在は札幌市の施設に転勤となったが、ふるさと栗山への想いから、現在も母校にエールを送っている。

私が通っていた時と比べて生徒数は減少し、少子化や存続問題などが言われていますが、母校が福祉教育や女子野球など新たな取り組みを行う姿を大変嬉しく思います。

そんな中で福祉に特化した教育を行うことは、人材不足といわれる福祉業界としても大変楽しみです。介護福祉の現場は、利用者さんの人生をどのようにプロデュースしていくかを医師、介護職、看護職、リハビリ職、ケアマネジャーなど、一人ではなく、チーム全体で取り組む業界です。

授業では技術的なことも学ぶかと思いますが、学校の仲間同士で考え、取り組む姿勢や繋がりの大切さを学んでほしいと思います。

私は、長年栗山町の多くの人の温かさにお世話になってきました。そんな温かみのあるまちで福祉を学ぶことで、今後の生活や社会に即した考え方を身につける貴重な時間を過ごして欲しいなと思います。

撮影:町総務課

長年、栗山町の福祉を支える「ガーデンハウスくりやま」

取材を終えて

栗山町は「福祉のまちづくり」に長年取り組んでおり、昭和63年には北海道介護福祉学校の開校、2021年のケアラー支援条例の制定など「栗山町ならではの福祉の環境」をつくってきました。

近年、社会全体では介護人材不足や地域でのコミュニティの希薄化が課題として挙げられており、栗山町も例外ではありません。広報くりやま10月号の介護福祉学校特集でも触れましたが、変化し続ける地域を支え、安心して暮らすためには、介護サービスの充実はもちろん、住民が共に支えあう意識が必要と考えます。

来年度から栗山高校が行う取り組みは、その課題解決の一端を担うものです。

「高・専一貫教育プログラムの開発事業」は、地域での介護人材養成に向けたキャリアを形成することにより、介護人材不足の解決だけでなく、生徒たちへ福祉教育を通して身に付けられる豊かな人間性を育むことがねらいです。

これは栗山高校が福祉・介護を専門で学ぶ学校として変革するのではなく、これまで栗山町が進めてきた福祉の環境を活かした「栗山町ならではの教育」を行うものです。身近にある福祉・介護の課題に触れ、地域を見る、将来を見据えた共生社会の視点を養うこと。仮に福祉関係の仕事に従事せずともこの教育活動で学んだ経験は将来生きていく上での糧となるでしょう。

多くの町民の皆さんに支えられ、地域に根差した学校としてあり続ける栗山高校。近い将来、より多くの栗高生の活躍を楽しみにしています。

※ 本稿は、広報くりやま2022年12月号で掲載した内容を加筆しています。

文章・写真:伊藤昴(町総務課) 写真:松井有彩(同左)

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