#5-1 胆振東部地震から4年 今、地震を考える(1/2)|とくしゅう
2018(平成30)年9月6日午前3時7分、北海道胆振地方中東部を震源とする地震が発生(以下、胆振東部地震)。北海道全域での停電「ブラックアウト」や、道路の液状化など、道内各地で甚大な被害を引き起こしました。
また、今年の3月16日には、福島県沖地震が発生し、本町の姉妹都市である宮城県角田市で震度6弱の揺れを観測。住宅の全壊、道路の地割れなど、甚大な被害をもたらしました。
近年、全国各地で頻発している「地震による災害」。今回の特集では、胆振東部地震の経験を踏まえ、現在活動を行っている方々へ取材を行い、災害に対する「備え」「意識」について話を伺いました。
あの頃をふりかえる
当時の町総務課の防災担当であった、杉本整昭(まさあき)さん(現町ブランド推進課)に話を聞きました。
2018(平成30)年9月6日午前3時7分頃に地震発生の連絡を受け、いち早く役場庁舎に向いました。栗山町職員防災初動マニュアル「地震編」に基づき、①町職員の参集者の把握、②庁舎の被害状況の把握、③第2警戒配備体制である「災害対策連絡会議」を役場に立ち上げ、会議は10回にわたり行いました。
当時の主な対応として町内の被災情報の把握をはじめ、指定避難所開設の調整、発電機、食料、毛布などの備蓄品の配送や準備を行いました。栗山町では、カルチャープラザ「Eki」やスポーツセンターといった公共施設16カ所を指定避難所として開設しました。また、北海道電力へ停電復旧状況の確認をしながら、ブラックアウトへの対応として町民へ広報活動(広報車、消防署サイレン、町ホームページへの掲載など)を行いました。
経験したことのない災害の中で特に苦労したのは「町民の皆さんに向けての情報伝達」です。地震発生から数日後、今回の対応について聞き取りを行ったところ、さまざまな声がありましたが、多かったのは、広報・情報伝達に関する意見です。電話が不通となり、役場への連絡ができなかったこと、インターネット上でのデマ情報の拡散など、そんな中で防災ラジオの導入を求める声も多くありました。
現在、コミュニティ放送局(FM)開局に向けて準備を進めており、町民の皆さんにラジオを配布し、災害時には、即時に行政からの情報提供・伝達手段の充実を図ります。
今後災害が起きた際には、広報車や町ホームページなどの従来の発信を行いながら、ラジオを「地域限定の防災メディア」として、皆さんを救う役割を担えるよう進めていきます。
ラジオについては過去のくりやまのおとでも紹介しています。
防災活動は自分のためであり、まちのためでもある
町民から見た当時の話
「近年で最も大きな揺れを感じ、すぐに飛び起きました。家を見てみると、食器棚内の食器は飛び出し、外の土留めブロックが倒れるなどの被害がありました」と畠山さん。ブラックアウトで電気の重要性も再認識する機会になったといいます。
畠山さんは、町内会の防災部長を務めていており、その日は午前8時頃から地区の見回りを行いました。「町内会員宅の訪問や、避難行動要支援者名簿[※]に登録のある方を指定避難所へ移動する際の補助をしました。頭部をケガされ、救急車で運ばれた方もいました」と当時を振り返ります。
自主防災組織
自主防災組織は、町民が「地域の安全を地域で守る」という意識にもとづき、自主的に結成し、日頃の防災活動を行っている組織を指します。畠山さんの所属する松風中央まちづくり協議会では2010年に設立し、これまで防災訓練や研修会、AED講習などを行っています。「防災意識の普及や町民の連帯意識の高まりに繋がっていますが、コロナや高齢化もあり今後は地
域の特性や時代に合わせ、若い層の方にも参加しやすい仕掛けをできればと思っています」。
自助の意識を基本に
町民の皆さんに伝えたいこととして畠山さんは「栗山町は災害が少ないという言葉を多く耳にします。しかし、災害はいつやってくるか分からない。そのなかでも、基本となるのは「自助」の意識。自分の身の安全を守ることです。普段の備えや学びは、災害時の自分の身を守るため、そしてまちを守るためでもあると考えています」と話していました。
※ 本稿は、広報くりやま8月号に掲載した内容を補完したものです。
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