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くりやまのひと

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北海道栗山町で生活・活動している人から、普段、発せられない「音」を拾っていくマガジンです。
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#18 他者からの気付きを、カタチにする楽しさ|くりやまのひと

栗山駅から徒歩1分の場所にある「くりやまクリエイターズマーケット(以下、クリエイターズマーケット)」。 くりエイトするまち栗山町の合言葉のもと、町が運営している施設は「ものづくりをする方を応援する場所、人と人が繋がる場所」として、2017年9月にオープンしました。今では町内に限らず長沼町や由仁町、札幌市や江別市から多くのクリエイターが参加しています。 今回の主役である濱道俊介(しゅんすけ)さんは、札幌からクリエイターズマーケットに通う、クリエイターの一人。「cray'z

#17 システムエンジニアの経験を生かし「スマート農業」を実践|くりやまのひと

夏も終わりに差し掛かり、秋になれば多くの農作物は収穫の時期を迎えます。日本の根幹である農業は、多くの農業生産人口に支えられてきましたが、1990年の482万人から2019年には168万人と減少が著しく[1]、平均年齢も68.7歳(2023年)[2]と高齢化も進行しており、遊休農地の増加とあわせて、日本の農業には多く課題を抱えています。 一方、農業総算出額はピークである1990年に11.5兆円から、2010年に8.1兆円まで落ち込んでいましたが、2016年から9兆円台[3]と

#16 父の背中の奥に、自分のための活動を見つけた今|くりやまのひと

20歳~40歳までの世代が主体的にまちづくりを行う青年会議所。日本では、1949年に「明るい豊かな社会の実現を理想」とし、責任感と情熱をもった青年有志による東京青年商工会議所の創立から、JCの運動が始まります[1]。 「共に向上し合い、社会に貢献しよう」という理念[2]のもと、各地に青年会議所が創立し、栗山町では1969年に栗山町青年会議所(以下、JC)も創立。2024年で55周年を迎えました。 今回は現理事長である天野剛生(たかお)さんに、JCの活動を続けている理由や地

#14 建築のデザインは、顔が見えるコミュニケーションから|くりやまのひと

「自分の好きな家に住んでみたい」という気持ちは、人生の中で一度は夢見る機会があると思います。 人生の最大の買い物の一つと言われるマイホームの購入は、数あるライフイベントの中でもとりわけ重要なイベントです。自分が住みたい家を作る以上、信頼・安心できる人にお願いしたいもので、その夢を叶えてくれる建築家は必要不可欠です。 栗山町在住の建築家・神谷幸治(ゆきはる)さんは、栗山に設計事務所(建築士事務所)を構え、顧客との対話を意識した建築デザインを心掛けています。 今回は神谷さん

#13 栗山の地で自己表現を、好奇心が向かう未来|くりやまのひと

「北海道内田鍛工株会社(以下、北海道内田鍛工)」は、1973年に栗山町で操業を開始して以来、既製品から特注製品まで幅広い製品を作る多品種少量生産の会社で、電力会社向けの架線金物をはじめとした鉄製品を製造・販売しており、私たちの生活にとって必要な社会の基盤を支える存在です。 そんなものづくりの会社に2018年、札幌から一人の青年・橋本昇二郎(しょうじろう)さんが入社しました。文系の出身であり栗山とは縁のなかった橋本さんですが、現在では地域や栗山のために活動するリーダー的な存在

#11 挫折と苦悩から生まれた切り絵という選択|くりやまのひと

栗山町には、北海道最古の酒蔵である小林酒造があります。その敷地内にある「小林家」の中に、1人の切り絵作家の作品が展示されています。作家の名前は小林ちほさん。 裁縫好きなお母さんの影響もあり、幼少期から手仕事が好きだったちほさん。今回は、切り絵の世界へ飛び込んだ原点や制作活動の源流についてお聞きしました。 手を動かす興味から美術の道にちほさんは栗山町の出身。短い間でしたが幼少期は栗山の地で育ちます。小学校のころに江別に住所を移しますが、栗山にはちょくちょくおじいちゃんとおば

#9 「何かを掴みたい」と思い続けて、ここまで来ちゃった|くりやまのひと

ガラス作家として国際的な展示会に出品2021年、国際連合は2022年を「国際ガラス年(IYoG2022)」とすることを決議しました。ガラスの原料である硅砂(けいしゃ)から作られる、窓ガラスやコップといった製品は、私たちの生活に欠かせません。 ガラスは、これまで多くの芸術家たちの創造を生み出みだしてきたものでもあります。 栗山町で芸術活動をしている中川晃(あきら)さんは、ガラス作家として東京で行われる国際ガラス年の展示会に出品を予定しています。今回は、中川さんのガラスに対す

#6 文学少女から、知の拠点を預かる専門家へ|くりやまのひと

文化施設である図書館、図書館を支える「司書」美術館や博物館とともに、住民の文化芸術活動の場である図書館。その図書館は、「司書」という文字通り「書」物を「司」る専門家によって支えられています。 北海道栗山町も、公共図書館として「栗山町図書館」が所在しており、司書の一人である野澤香(かほり)さんは、司書を統括する立場にいます。 今回は、野澤さんに司書になった理由と、これからの栗山町図書館について話しを伺いました。 友人の夢をもらい、自分の夢とした野澤さんは、北海道札幌市の出

#5 消費者との会話を求める養鶏家|くりやまのひと

新鮮な卵を届ける栗山の養鶏場 栗山町松風にあるスーパーマーケット「ラッキー栗山店」。その野菜コーナーに栗山産の卵が置かれています。栗山町の七不思議ではありませんが「なぜ、野菜コーナーに卵が置かれているのか」と、首をかしげる町民も多いはずです。 その卵を生産しているのは、南角田にある養鶏場・有限会社酒井農場。現在は、2代目である酒井利夫(としお)さんが経営し、町内・町外に向けて新鮮な卵を提供しています。今回は、酒井さんに、酒井農場や養鶏について聞いてみました。 家を継ぐとい

#4 移住者と栗山を繋ぐ、等身大のコーディネーター|くりやまのひと

栗山への移住を考える最初の入口として「くりエイトするまち栗山町」というキャッチコピーがあります。一度は聞いたことがあるという栗山町民は多いはず。このコピーは町のシティプロモーションの一環として、町の若者定住推進課が実施しているもので、他にも「くりやまクリエイターズマーケット」や「くりやまサポーター」といった、20代・30代の若者世代をターゲットにしたプロモーション活動を行っています。 その若者定住推進課に「移住コーディネーター」の肩書きで、移住希望者と栗山を繋ぐ一人の女性が

#3 昆虫に魅せられた少女が、選んだ素直な進路とは|くりやまのひと

栗山町の象徴的な存在である「オオムラサキ」栗山町は、国蝶オオムラサキの生息地の国内北東限地であり、自然あふれる場所に生息している美しい蝶は、自然教育に力を入れている栗山にとって、シンボルともいえる大切な存在です。 そのオオムラサキを飼育・展示している「オオムラサキ館」。そこで働く川名いつみさんは、栗山の自然や自然教育活動を陰から支えている一人です。 昆虫に魅了され、ここ栗山の地で働くことを夢見ていた川名さん。川名さんの昆虫に対する想いはどのようなものなのかを、自身の進路を

#2 「あの坂へいそげ」 祖父の言葉が、自分の生きる理由へと繋がった|くりやまのひと

命を守る大切さを語りつなぐ語り部1993年7月12日は「北海道南西沖地震」の発生日です。最大7~8mに達した津波が北海道の南西沖を襲い、死者・行方不明者あわせて226名という、不幸に見舞われた日になります。 近年では、2011年3月に東北地方を中心に甚大な被害を受けた「東日本大震災」、2018年9月に北海道で観測史上初の震度7を記録した「北海道胆振東部地震」など、多くの国民や北海道民が大規模災害を経験しており、忌まわしい記憶の中であっても、被災の経験からさまざまな教訓を得て

#1 ものづくりのDNAが織りなす、夫婦二人三脚の洋食屋|くりやまのひと

夫婦念願のお店が栗山に誕生2021年5月、栗山町に一つの洋食屋が誕生しました。その店の名は「モンテマローネ」。モンテはイタリア語で「山」、マローネは「栗」と栗山の地名にちなんで名付けられました。 昼はランチ、夜は居酒屋スタイル、全12席の小さなお店です。 モンテマローネを営まれているのは、佐藤武士(たけし)さん・倫夏(りか)さんご夫婦です。武士さんは37年間の経験と技術を活かし調理を担当。倫夏さんは店内の管理や注文など店の切り盛りを担当しており、文字通り「夫婦二人三脚」で

#0 栗山で生活・活動する人の音を拾う|くりやまのひと

「くりやまのひと」のコンテンツとは 「くりやまのひと」は、北海道栗山町で生活している人が、どのような想いで暮らしているのか、自身の活動の原点はなにか、普段本人から発せられない音を拾っていくマガジンです。 取材先の横顔を探っていくためにも「対話」を意識し、感じたことを素直に質問や疑問として、ぶつけていくことを基本としています。 その中で発せられた声や、ふとしたきっかけで生まれた考えを記録することで、取材先の新たな気付きや、次なる活動のきっかけが生まれることを目指していきます